パラオの官公庁の組織構成をすこし見てみると、第二次大戦後、アメリカの主導で国の形を整えていった跡をみることができます。
小さな島国ですが、国家の下にある行政単位はState:州です。
Stateの下にはHamletという行政単位がありますが、行政機構としてはStateが最小の単位、つまりStateGovernment(州政府)が最小単位であろうと思われます。Hamletは「地区」とでも呼ぶのが適当と思われますが、独立した行政としての機能はもたないようです。
StateGovernmentは独立した行政機構としてStateOfficeを持っています。 このあたりも米国の行政機構をコピーしたように思われます。 小さな国家ですから、Stateよりも小さい行政単位に分けるまでもない、という判断だったと思われますが、State(州)が最小行政機構になっています。
State(州)は、日本でいうと、「都道府県」に相当する行政単位です。
日本では、通常、行政の直接的な住民サービスは「都道府県」ではなくて、さらに小さな「市町村」のレベルでおこなわれます。 「市民課」というカンバンは市役所・村役場にはありますが、県庁には(普通)ないですよね。同様に、パラオの州政府にも「市民課」がありません。
パラオの行政機構を見るときに、私はいつも、そこのところがひっかかってしまいます。 アメリカの中央・州までの機構をコピーして、その先はもう規模の関係から不要としてしまった(であろう)ために、パラオの役所(中央・州)には(日本の都道府県庁に市民課がないのと同じように)「市民課」に相当する窓口がありません。
パラオのWebサイトでコロール州政府の部署構成を調べてみると
Administration & Legal Counsel 評議会(最高意志決定機関?)
House of Traditional Leaders 旧部族長(酋長)会議
Koror State Legislature 州議会
Koror State Public Land Authority 土地管理委員会
Finance Department 財務局
Planning Commission/Building & Zoning 土地建物・地域計画
Community & Cultural Affairs 地域文化
Koror State Rangers 地域保護
Public Works 公共工事
となっていて、市民サービスの直接的な窓口が見当たりません。やはり、米国の州レベル、日本の都道府県レベルの役所の構成をコピーしたためでしょう。
「市民課」がないということは、住民登録や戸籍システムを取り扱ったり直接的かつ一元的な住民サービスの窓口がない、ということで、そこにパラオの行政インフラの脆弱さを感じます。
手順としては、
1. 土地台帳を整備して、住所表示のシステムを完備すること
2. 住所表示に従って、住民登録システムを稼動させること
3. 各州政府に「住民課」を設置して、窓口とすること
4. 住民の生誕・死去・異動の記録を「住民課」に窓口一元化
といったところでしょうか。 しかし、1.のステップでたぶん侃々諤々、蜂の巣を突っついたような状態になってしまって収拾がつかなくなるのでしょうね・・・