2学期(8月下旬~12月始め)のまとめテストをやってみた

SCOT(Swaziland College Of Technology 技術短大)では各学期の初めに前の学期のまとめのテストを実施するらしく、1月の第3学期開始早々、テストを実施することになりました。
私もICTコースの1年生と3年生のプログラミング講座を担当しているので、同僚のMhlanga先生やShongwe先生と分担して問題を作成することになりました。
A4で3ページの試験問題のうち、Mhlanga先生とShongwe先生の分が1ページ、内容はオブジェクト指向の基礎的な設問(クラスとは?とかコンストラクタとは?のような)とJAVAの変数の型の理解や計算結果を求める問題。
私の担当分が2ページで、Windows(DOS)の基礎知識を試す問題(BatchScriptを作成する問題)とIDEツールを利用する開発と「テキストエディタ+コマンドプロンプト」による開発の長所・短所について記述する問題。

2学期末試験の問題

圧倒的に私の期待を裏切ってくれたのは、BatchScriptを作成する、という問題。(右図 クリックで拡大可)

講座の中ではけっこう時間をさいたという印象があったのですが、試験の結果は惨憺たるもので、1年生の場合、30名中正解者はわずかに1名、3年生のクラスでは25名のうち正解者ゼロ。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
採点しながら、すこしずつ自分のなかで不安がおおきくなり、自信喪失のような気分に落ち込むのが感じられました。
  「教え方がまずかったのかな~?」
  「もっとExcerciseを与えるべきだったかな~?」
  「私の下手な英語がやはり彼らに通じてはいなかったのかな~?」
などなど次から次へと思い浮かぶのは全て私自身の責を問うものばかり。

しかしたったひとり正解にたどりついた学生がいた、という事実をどう解釈すればいいのだろう?
彼(A君と呼んでおこう)には理解できていて、残りの29名には理解できなかった、この違いはどこからやってきたのだろう?
A君以外に、正解にはたどり着けなかったものの「BatchScript」が何であるかということはどうやら理解している、という答案が2件ありました。
他はすべて、どうも「BtachScript」の概念そのものが理解できてなくて、レクチャーの際に具体例として資料に書いて見せたBatchの例をそのまま書いてみたり、問題の意図というか「何を求められているか」が充分に理解できていない答案がほとんどでした。

Study Report
レクチャーの際、私はレクチャー資料とは別に、いつも「Study Report」というのを学生に配布しています(右図)。 そこには、「今回のレクチャーの獲得目標」と「今回のレクチャーが理解できれば、・・・・・・・ができる」というチェックリスト、そして学生からの質問欄があります。 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
学生の質問への回答
学生たちは私の予想以上に質問欄に記入してくれます。 私は質問への回答を次のレクチャーの時に資料を渡して説明します。
 
 
 
 
 
 
 
質問の内容を見るとわかりますが、とても「短大でコンピューターサイエンスを学ぶ学生」とは思えないような、素朴な質問ばかりです。
 
 
 
 
これは、学生たち自身の勉強不足でも能力不足でもなんでもなくて、スワジランドのコンピュータ教育のまぎれもない現実、なのですね。
スワジランドのコンピュータ教育が始まってまださほど年月が経過してなくて、さらに高等教育機関で教える立場の人たち自身、充分な情報処理教育を受けてないわけですから、そこからやってくる現在のICT教員の青年たちもまた充分なPCリテラシー教育を受けないまま教壇に立たざるを得ない、というのがスワジランドの現実です。
スワジランドでは、University Of Swaziland (UNISWA) と並んで最高学府のひとつであるSCOTの、これが現状なのですね。 
技術協力に入る私たちに選択肢はありません、「ここから出発する」だけであり、「この現状」としっかり向き合うだけです。 
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2学期(8月下旬~12月始め)のまとめテストをやってみた への1件のフィードバック

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