【Swaziland便り:新聞に全員の成績が!!】

日本では年末年始のお休みにはいっていることでしょうが、私は大晦日まで教育省の自分のオフィスで仕事でした。
クリスマスから新年にかけて2~3週間の長期休暇をとる職員もたくさんいます、私のCP(カウンターパート)も12/23から1/11まで長期休暇です。 私は宿舎にいてもしようがないのでむしろ出勤しているほうが気分的に楽です。 省内にはけっこうたくさんの職員が出勤していて、えらい人、例えばPS(Principal Secretary 日本でいうと「次官」)も出勤していました。
大晦日の新聞 トップ見出し
大晦日の朝、いつものように朝刊を開いてみると、一面トップに子供の写真が10枚ほど。 「また何か事故でもあって子供がたくさん犠牲になったか」と見出しをみると、「Girls shine again!」とあります。 とりあえず悪いニュースではなさそうで、ホッとしました。 
 
 
 
試験結果を報じる記事
記事を読んでみると、「Swaziland Primary Certificate Examination 小学校の全国統一認定試験」で成績上位1位~10位を女子生徒が独占した」ということだったようです。 以前にも、HighSchoolの全国統一試験で成績上位者が新聞に載って、インタビューされたりしていましたが、小学校の試験でも同様で、一面トップに写真が載り、記事には氏名・学校・成績が表になっていたり、インタビュー記事があったり、すごいですね、ここのシステムは。
 
 
 
試験でトップの女子生徒の記事
トップの女の子(Pearl Langelihle Dlaminiさん12歳)はインタビューで「携帯電話は持たない。 持てばきっとはまるから。 将来はお医者さんになりたい。進学したい学校は決まっているけれど、お父さんが失業中で・・・」と。 父親も「進学させてあげたいけれど・・・・スポンサーを探さなければ・・・」と。  希望の学校に進学できるといいのですが・・・
 
 
 
 
 
新聞に載った小学生全員の試験結果
さらにページをめくっていくと、なんと試験に参加した全ての学校・全ての生徒(およそ2万人)の成績が約20ページにわたってびっしりと掲載されていました。 成績は5段階評価で、上からMerit, First, Second, Third, Fail で「Fail」は文字通り「落第」です。Swazilandでは小学校から落第制があります。 さすがに「Fail」と判定された子供の氏名は載っていませんでしたが、学校のなかで受験した生徒は一目瞭然ですから、このリストに名前が載っていなければすぐに「xxxクン、落第や~」となってしまいます。
日本では考えられないことですね。 小学校の全国学力テストの結果、全国トップの生徒10名ほどが顔写真付きで一面トップを飾り、インタビュー記事まで載っていて、さらに全国の全小学校の全生徒の成績が氏名と5段階評価で全国紙に全部掲載される・・・学校別の平均得点の公表でさえすったもんだの議論になる日本では決してありえないことですね。 ここスワジランドではこれが個人にとってのキャリア形成の最初の一歩みたいな受け取り方がされているようです。
 
 
学校別の成績詳細ページ
わずか12歳でこのように試験の成績によって全国のなかで格付けされ、全国紙に掲載される、というのはその是非の判断は別にして、この国の子供たちが通過する最初の試練には違いないでしょう。
学校についても、どの学校がMerit何名、First何名・・・Fail何名と発表されているので、学校の格付けにも通じます。中にはすばらしい成績の学校もあれば、「どうしたの?」と尋ねたくなるような悲惨な成績の学校もあります。 右図では、ある学校は受験者28名中、15名がMeritで落第は0、別の学校では受験者57名中、Merit・Firstは0名、落第36名、むしろ何がこのような差を生み出したか、が分析されるべき課題なんでしょう。 ですが、やはりこうしたデータが学校の格付けに利用されるのは避けられないでしょうね。 こうした結果が先生や生徒たちの奮起につながればいいですが・・・。 日本では想像つかないほどの学歴社会であるアフリカではこうして生まれる格差は異常でもなんでもなくて当たり前の現実として受け止められているのでしょう。 公表する省の立場もおそらく「これが君たちのまぎれもない現実だ、しっかり受け止めなさい」といったところなんでしょう。

Swazilandの子供たちはたいへんだな~とつくづく思います。 12歳・13歳の春が灰色でないように祈るばかりです。

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