第四コーナーにさしかかって・・・

私は、JICA短期ボランティアプログラムで昨2012年7月から任期10ヶ月で派遣されていますので、今2013年3月で8ヶ月を過ぎ、第四コーナーにさしかかろうか、という時期ですが、2月中旬、今後のスワジランドへのJICAボランティアの活動をどのように展開するかについて、私や関係省庁と相談する目的で、JICA南ア事務所からVC(Volunteer Coordinator 昔風に言うと「調整員」です)が来られました。 

私は現在Swaziland王国・Ministry of Education and Training(教育訓練省)に配属されています。 現在の活動状況を概観すると、
  1. 教育省本庁の活動(ICT教育のレベル向上・シラバスの検証、など)
     ICT教員向けWorkShopの開催
     3月はLubombo地区3箇所で開催の予定
  2. 教育省の地方事務所(REO Regional Education Office)や
     NCC(National Curriculum Centre)などの各種機関の所内LAN構築や
     文書共有のサポートなど、ICT利用レベルの向上
が本来SwazilandからJICAへの要請事項なんですが、当案件のボランティア募集要項にはそれに加えて、
     「今後のボランティア派遣にかかる調査協力」
という一項があって、これは私がSwaziland派遣ボランティア第一号ということで、 JICAボランティアの新規派遣先の開拓の、いわば斥候役を求められていた、ということです。
で、その斥候役の部分ですが、さいわいなことに、
  3. SCOT(Swaziland College Of Technology 技術短大)におけるICT学科の
     講義サポート。
     具体的には、JAVAプログラミング・Web開発講座のレクチャー・教員指導
  4. Ministry of Information,Communication and Technology(ICT省)の一部門、
     GCS(Government Computer Services)への技術サポート
     具体的には、メインフレーム上で稼働中のシステムのWebAPへの移行サポート、
     主にWebApplicationの構築技術指導
   
といった具合で、教育省本庁の本来業務以上にボリュームもあり、緊急にサポートを要するふたつの案件の掘り起こしができました。

前項3・4については、今回Swazilandを訪問されたVCにも同行していただいて、SCOTおよびGCSから新たなボランティア派遣の要請があり、JICA側から規定のフォーム(「S1フォーム」と呼ばれる、日本政府に対するボランティア派遣要請書)の記入・「Ministry of Economy and Planning 経済企画省」への提出・JICA南ア事務所への送付に始まって、JICA HQ(東京)での審査~ボランティア募集~訓練~派遣に至るプロセスの説明がありました。

直近のスケジュールでいくと、
  A. シニア短期ボランティア(1~10ヶ月)の場合、
      3月末に各国からの要請書類の締め切りがあり、
      4月募集で最速で6月末~7月上旬に派遣が可能、だそうです
  B. シニア長期ボランティア(2年)の場合、
      6月末に各国からの要請書類の締め切りがあり、
      今年秋募集で募集をかけ、来年(2014)2月に派遣者の決定、
      2ヶ月の訓練を経て、来年(2014)6月が最速の派遣、だそうです。
(Swazilandと日本の間には、JICA専門家・シニアボランティアの派遣協定は締結されていますが、青年海外協力隊の派遣協定は未締結なため、協力隊員の派遣は現在のところできません。 また、南アは現在女子隊員の派遣はできませんが、スワジランドの場合、都市部でも女子隊員の派遣が可能な程度に安全ではないか、と感じます。 はやく協力隊員を派遣できるといいですね・・・)

以前から「なんとかもう少し短期間で派遣できないものかな?」と思っていましたが、やはり長期ボランティアの場合、現地から要請があがってから実際にボランティアが現地に到着するまでに約1年間という時間がかかります。 多くのエピソードで語られているように、要請をあげて実際にボランティアが到着する頃には現地の状況が様変わりしていたりして、要請内容の業務自体がなくなってしまっていたり担当者が異動していたり、極端な場合、到着したボランティアに「あんた、誰? 何しに来たの?」というようなケースもあると言われます。 要請をあげた担当者が残っている場合はまだ幸運なほうで、担当が異動して変わっていたりするとそういうことが起こりがちだ、といわれます。

短期ボランティアの場合はすこしその期間が短くてすむようで、私の場合、
  Swaziland政府からS1フォームが南アオフィスに届いたのは2012年の秋(でしょう) 
  2012年12月締切分で、南アJICAオフィス経由・JICA HQ(東京)に募集要請があがり、
  2013年春募集(2013年3月)でシニア・ボランティア(短期)の募集が公開され、
  応募~選考~発表を経て渡航準備を始めたのが2013年5月、
  私のSwaziland着任が2013年7月上旬ですから、
Swaziland側から見れば要請をあげてからボランティアがやって来るまで、やはり9ヶ月ほどかかった、ということです。

この「途上国から派遣要請があがってから実際にJICAボランティアが任国入りするまでの期間」については、以前から気になっていたのですが、シニアボランティアの場合など、「登録制度」のようなのがあると派遣までの期間短縮に利用できるかもしれません。 現行でも、「青年海外協力隊経験者」の場合、派遣前訓練の免除という制度がありますし、また語学についても一定の要求レベル(例えば、英語圏ではTOEIC 730点以上、など)を満たしていれば語学訓練も免除される、という制度があります。 これらを満たす経験者をプールしておいて、派遣要請とのマッチングと本人の派遣可否確認・派遣意思確認とで、ずいぶんと期間短縮できるのでは、と思うのですが・・・

私の場合、過去2回の長期ボランティア(1984年~スリランカ、2010年~パラオ)でも、また今回のスワジランドでも、さいわいにも「あんた誰? 何しに来たの?」というような事態にはならずにすんで、今回は特にCP(カウンターパート)にも恵まれ、幸運なケースであったようです。

で、今回、南アオフィスからVCに来ていただき、今後のJICAボランティアの派遣についても、教育・訓練省・SCOT・GCSの担当者や上級オフィサーと会っていただいて、相手側のリクエストを確認しました。
三者ともボランティア派遣の継続を希望していて、SCOT・GCSについては「継続」ではなく「新規派遣」になりますが、SCOTの場合、教育省配下の学校なので、教育・訓練省本庁派遣のボランティアによる兼任、という可能性も検討されるようです。 SCOTには長期の休暇がありますから、その期間を利用して本庁で教員対象のWorkshopを計画するなど、スケジューリングで工夫できるのではないか、ということです。 できれば、それぞれ専任にこしたことないのですが、SwazilandはまだJICAボランティア派遣の実績がないですから、いきなり多くの派遣を望むのは難しいでしょう。 GCSからは、新規派遣の要請もあったのですが、加えて、GCSのDirectorやApplicationManagerから私の任期延長を希望する旨の申し入れがありました。
(ひとまず、スワジランド初代JICAボランティアの斥候役としての役割については及第点、ですかね?)

JICAボランティアの、「長期」と「短期」の区別は「任期1年を越える」場合を「長期ボランティア」と呼んでいるようです。
JICAボランティアの規定では、短期ボランティアの任期延長は「総派遣期間が1年を超えないこと」という決まりになっているそうで、私の場合もそれが適用されます。
私の場合、南アオフィス側から「11ヶ月をメドに」ということで、任期10ヶ月ですから延長はせいぜい1ヶ月、ということになります。
1ヶ月の延長でどれだけのことができるか、と考えるとまことに心もとない限りですが、GCS側が私の利用価値をそれなりに認めてくれたことは私にとってうれしいことですし、できればGCSの要請には応えたいと考えています。 私を必要としてくれる人や組織があれば、そこが私の居場所なんだろうな、と私は思っています。
(2013.3月 正式に教育省から任期延長の要請がJICA事務所(南ア)経由でJICA HQ(東京)にあがり、JICA HQから任期延長許可がおり、1ヶ月の延長が決まりました。 余談ながら、日本の留守宅を守る女房殿の認可もおりました。)

青年海外協力隊やシニア海外ボランティアなど、JICAボランティアにとって現地での活動がうまくいくか否かのおそらく50%以上の部分は「よいCP(カウンターパート)に巡りあえるか否か」にかかっていると言えるでしょう。 未知の国・土地で生活するだけでもけっこうたいへんなことですから、そこで仕事を(相手のリクエストに応えるレベルで)こなしていく、というのは、もっとたいへんなことです。 特にJICAボランティアの多くは途上国の政府省庁に配属されるので、省庁のビジネスプロセスというのは国ごとにさまざまであり、日本の常識はまず通用しないと考えるべきで、CPのアドバイスを受けながら試行錯誤を続けることになります。 CPの存在価値というのはそういう難しさのいくばくかを一緒に背負ってくれる場面で強く感じることができます。 言葉の壁も手伝って、充分に意思疎通ができるとは言いがたい状況ですが、CPがこちらの熱意や意思をきちんと受け止めてくれたときにはなんとも言えない充実感があります。 

私のCP(カウンターパート)Tselaさん
今回の私のケースでは、さいわいにも良いCPに恵まれました。 彼は肩書きとしては「Senior Inspector ICT」(日本流に言うと、「IT分野の上級視学官」)です。 途上国にはめずらしいくらい気配りのできる人で、たいへん助かっています。

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