南ア・ハウトレイン(GauTrain)体験記

スワジランドにはまだ日本大使館もなく、JICA事務所もありません。 どちらも南アの大使館・JICA事務所が兼轄しています。 ですからJICA事務所に用があったりすると、国境を越えて南ア・プレトリアにあるJICA事務所まででかけます。
JICAボランティア(青年海外協力隊・シニア海外ボランティア)には「任国外旅行」という制度があって、日数や渡航先の制約はありますが任期内であれば自分の任国以外の国を訪れることができます。 南アの場合は安全性などの問題があって、去年までは他の国からの任国外旅行による入国は禁止されていましたが、去年末ころ「ケープタウン地域のみ任国外旅行で入国可」になりました。 

スワジランドにはレソト同様、まだ協力隊員は入国できません。 南アやレソトよりずっと安全だと思うので、はやく協力隊員がスワジランドを訪れることができるようになるといいのですが・・・ (シニアボランティアはスワジランド入国可、です。 シニアの場合、パスポートの渡航先制限がなくて「All coutries」になってますから、どこでも行けるわけですね、昔は「北朝鮮を除く」と注釈がついてましたが・・)

Volunteer Handbook クリックで拡大
で、南アですが、JICAボランティアは原則「列車による移動は禁止」ですが、「ブルートレインとGauTrain(ハウトレイン)のみ利用可」というのが現状です。(右図、クリックで拡大可) ブルートレインというのは時々日本でもメディアで取り上げられる豪華列車で我々JICAボランティアにはあまり縁のない列車です。 GauTrain(ハウトレイン)はヨハネスバーグとプレトリアを結ぶ高速列車で、国際空港があるヨハネスバーグからJICAオフィスのあるプレトリアへの移動には「タクシー、またGauTrainを利用すること」というのがJICAオフィスからボランティアへの指示になってます。(バスも、遠距離バスしか利用できない隊員は例外的に許可されますが、コンビと呼ばれる小型バスの利用は安全上、なるべく避けるようにと指示されています)

昨年(2012)11月、スワジランド赴任後初めて南アのJICAオフィスへ出かける用があって、スワジランドから南アへ航空機で入り、ヨハネスバーグのORタンボ国際空港からプレトリアまでGauTrainで移動する機会がありました。何の予備知識もなく、「南アの鉄道は治安が最悪だ」という話だけが頭にあって、内心ビクビク、不安なままORタンボ空港に降りました。

ORTambo国際空港パスポートコントロールを終えて、預け荷物をうけとったあと、たいていどこの空港でも税関の荷物検査がありますが、ORTambo空港では「申告するものがない人はこっち」という掲示に従うと、そのまま外にでてしまいます。農業関係の持ち込みなど、特殊なケースのための窓口はあるのですが、一般客の荷物検査がどこにもありません。 今まで一度も検査を受けたことがありません。 不思議な空港です。ORTambo空港はセキュリティ要員の姿がやたら目に付きます。 時間帯によっては乗降客よりセキュリティ要員のほうが多いのでは、と思えるほどです。 ま、その分、安心なのでありがたいことですが・・・ 私にはセキュリティ要員も空港職員も区別がつかないので、このバカでかい空港で目的の場所へ行き着くために何度も制服姿の人に尋ねたのですが、ほぼ例外なくたいへん親切に対応してくれます。 チェックインカウンターがわからないときには、わざわざ連れて行ってくれましたし、ここの職員には好印象を持っています。

ORタンボ空港のバカでかい空港ビルの3階にGauTrainの駅があります。 まず「切符の買い方」がわかりません。 自動販売機がいくつか並んでいて、太った白人の駅員さんが客にいろいろ説明していたので、私も並んでそのおじさんに買い方を尋ねました。 いろいろ親切に教えてくれるのですが、なんとも早口の英語で半分くらいしか聞き取れず、とりあえず行き先だけ伝えて、何枚かの紙幣を見せて「どうすればいい?」というジェスチャーで反応を待ちます。やはり下手な英語よりボディランゲージ、ですね。通じました! 駅員さん、私の紙幣を受け取って、自動販売機でいろいろ操作してGauTrainの磁気カードを作ってくれて、行き先であるHatfieldまでの金額をカードに追加(charge)してくれました。 あとでわかったことですが、自動販売機ではなるべくおつりが必要ないようにするのがおすすめ、です。 R135の乗車代にR100の紙幣2枚をいれると、つり銭R65がすべてコインで戻ってきました。 
南ア・5ランド貨 クリックで拡大まるでカジノのなんとかマシーンみたいに、R5(5ランド)のでかいコインが13枚ジャラジャラと吐き出されてきて、サイフの重いこと!
南ア・5ランド貨 クリックで拡大日本でいうと50円玉くらいの価値で、実に立派できれいなR5なんですが、大きくて重いのが難、ですね。
以後、磁気カードに乗車券代を追加するときは必ず窓口で頼むことにしました。窓口で対面式だと紙幣でつり銭をもらえます。
ついでの情報ですが、JICAボランティアの場合、公用でGauTrainを利用する場合、あとで交通費の支給をうけられますが、そのためには領収書が必要で、GauTrainの場合、利用履歴のシートを入手することが必要です。 自動販売機でも取れますが、私はいつも窓口で支払うので、窓口で履歴シートを発行してもらっています。 窓口で磁気カードを出して「Please print usage history!」と言えば通じました。
(追記:2014.7 2014年7月に利用した際、ORタンボ空港から終点HatfieldまでR155でした、すこし値上がりしたみたいです)
GauTrain InformationBoard切符を買って、自動改札を通過すると、いよいよGauTrainの入り口。 路線図があって、ORTamboから行き先のHatfieldを確認してみます。 Hatfieldは終点でした。 これなら乗り越す心配はない、ひと安心。 

GauTrainの路線図
しかし、今いるORTamboからHatfieldへの直通列車がないみたいです。 プレトリアとヨハネスバーグ中心街を結ぶ路線とタンボ空港とヨハネスバーグ中心街を結ぶ路線はあるのですが、タンボ空港とプレトリアを直接行き来する路線がありません。路線図でみると、MarlboloかSandtonで乗り換えなきゃいけないようです。 ちょっと不安に。

GauTrain InformationBoard
右はGauTrainのORタンボの駅です。 止まっているのが、GauTrainの列車。 きれいです。
ホームにはセキュリティ要員らしき人がたえず何人か巡回していて、「セキュリティがいるから安全」なのか、「セキュリティが巡回しなきゃならないほど危ない」なのか、ちょっと判断できませんが、人影もまばらだし、とりあえず安全なのでしょう。
セキュリティの男性に「Hatfieldに行きたいが、どこかで乗り換えですか?」と尋ねると、丁寧に答えてくれました。「Marlboloで降りなさい。 Sandtonでも可能だが、あなたのような外国人にはMarlboloのほうがいいでしょう」と。

GauTrain InformationBoard
列車の中。 きれいな車両です。 国際空港線らしく、スーツケースなどの大型手荷物を置くスペースもあって、ちょうど成田Expressみたいな雰囲気です。 客はまばら。 15分か20分間隔で運行しているようです。
ORTamboを出発。 国際空港をあとにします。 列車は揺れもすくなく、快適です。 列車内にもセキュリティ要員が数名乗車していて、たえず車両を行き来しています。
車内には日本の新幹線と同じように案内表示がありますが、4つくらいの言語で、たぶん一番最初が英語だろうと思います。 あとは(たぶん)アフリカーンスやら、読めないのやら・・・でした。
 たぶんGauTrainの車内ではさほど危ない目には会わなくてすみそう、と思わせてくれます。
GauTrain Marlbolo駅
Marlbolo駅に到着。 さて、乗り換えです。 列車を降りてもどっちに向かえばいいのか、私にはさっぱりですが、やはり同じように乗り換えの乗客がけっこういるようで、その後ろについていくことにしました。歩きながら、横にいた黒人青年に「Hatfieldへ行くにはこっちでいい?」と尋ねると、「こちらですよ、私もいくからついて来なさい」と親切に同行してくれました。
空港行きの場合は、もし乗り換えがわからなくなっても、Marlbolo駅の構内通路の床には「空港方面のホームはこちら」を示す「飛行機のサイン」が描いてあるので、飛行機のサインをたどっていくと間違いなく所定のホームに出られます。 Pretoria・Hatfield方面の場合は、「人の流れについていく」のが正解です。
Marlbolo駅周辺の住宅・太陽熱温水器群
 
 
 
Marlbolo駅の周辺には、太陽熱温水器を備えた住宅がびっしり。 何かの記事で、これらの住宅は日本の「雇用促進住宅」的な住宅である、というのを読みました。
GauTrain Marlbolo駅
Marlboloのホームから階段を上がって、ほぼ直角に交わるような形で(と思っていたんですが、何度か乗るうちに、並行して走っているのがわかりました 2013.3 記)Hatfield方面のホームがありました。
GauTrain Pretoria駅
Hatfieldのひとつ手前がPretoria駅です。 ここは南アの各路線のターミナル(終着駅)のようで、GauTrainもここに止まって、次また元来た方向へ戻るようにでていきます。 日本でいえば、新潟とか青森、函館もそうでしょうか、のような駅ですね。
GauTrain Pretoria駅周辺
周辺は緑豊かな住宅地で、茶色をベースにした落ち着いた色合いの住宅がほとんどです。集合住宅もかなり多いようです。
GauTrain Hatfield駅
ORTamboから3-40分でようやくHatfieldに到着です。 Hatfieldの駅にもセキュリティ要員がたくさんいて、たえずホームや構内を巡回していました。 なんとか、GauTrain初乗りを無事おえることができました。
GauTrain Hatfield駅の窓口 Hatfield駅の窓口。 すぐ横にたくさんチケット自動販売機が並んでいましたが、ほとんどの乗客は窓口に並んでカードに料金をチャージしていました。 自動券売機は使い勝手が悪いのかもしれません。(私も一度説明を受けましたが、さっぱり???でいつも窓口に並びました) 窓口の係員は親切です。
 
 
 
GauTrain Hatfield駅のチケット販売機GauTrain Hatfield駅の改札口
GauTrain Hatfield駅
右・右下はHatField駅の外観です。 駅の建物の中にも、また建物の外にも警備員が数名ずついて、いかにGauTrainが「安全で清潔な鉄道」であるかということに南ア政府が力を注いでいるかがうかがえます。 タクシーやバスの乗り場を訊ねるとわざわざ連れて行ってくれました。タクシー乗り場は、2013年2月時点で、まだ定位置が決まっていないみたいで、2012年12月に来た時と今回(2013年2月)とでは場所が異なっていました。
 
 
GauTrain Hatfield駅 全景
タクシー運転手は車の中ではなくて、近くの木陰で仲間と談笑していることが多いので、こちらから声をかけてあげましょう。 メーターなしの車がほとんどなので、最初に値段交渉をおわすれなく。 ぼったくる運転手に出会ったことはないですが、運転手によって微妙に値段の差もあるようです。 バスはプレトリア市内の路線がよくわからないので、乗ったことがありません。

 
 
 

たぶん、GauTrainのORTambo-Hatfield間はセキュリティ面では全く問題ないでしょう。 ただMarlboloから反対側、終点のParkに向かうと、ヨハネスバーグの中心街に近づくので、あまりそっち側へは向かいたくありませんが・・・
ORタンボ空港へ向かう際は、前方の1両目か2両目に乗りましょう。 H25.5月現在、タンボ空港駅では(空港行きの場合の)後ろ側の車両はドアが開きません。 どういうわけか、タンボ空港駅のプラットフォームが短くて2両目あたりまでしかドアが開閉できないようでした。 Malboro駅で乗り換えるときに、知らずにタンボ空港方面のプラットフォームに立っていたら、セキュリティのでかい青年が「ここじゃタンボ空港で降りられないですよ、もっと前のほうで立ってなさい」と教えてくれました。 ハウトレインは職員もセキュリティの人も皆とても親切で好印象でした。

GauTrain の列車GauTrainの乗車券(磁気カード)
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