スワジランドの地方を訪ねる

昨年(2012)8月にも全国各地の学校を訪れる機会がありましたが、当時はまだ赴任まもない頃で、周囲の風景や人々の暮らしに視線を向ける余裕とてなく、ただいくつかの印象を持ち帰って「再度訪れる機会があったら何らか記録に残しておきたい」と考えていました。

今年(2013)3月から4月にかけて東部・南部の地方へ出張する機会があり、そのいくつかを記録にのこしておこうと思います。

Lubombo Worksho地図p
3/25から3/27の3日間、東部Lubombo地方の3箇所でHighSchoolのICT教員対象のWorkShopがありました。
私にも発表依頼があって、主催者から「学校のPCラボで無線接続を利用したローカルネットワークの構築について助言がほしい」とのことでした。
最初は2泊3日の泊りがけの出張と予想していましたが、宿泊先の手当てができなくて、毎日日帰りのかなり強行軍な出張になりました。
 
 
 
 
 
 
 
 
BigBend U-TECH の正門U-TECH校内
一日目(3/25)は東南部の中心都市・BigBendを訪ねました。 BigBendは東部の平野部で生産されるサトウキビの集積地でもあり、大きなサトウキビ処理工場があります。 大規模な工場をめったに見ることのなかったスワジランドで初めて眼にした「工場らしさを感じさせる工場」でした。
 
 
 
 
Workshopの会場は、このBigBendにあるU-TECHという学校。 首都からはずいぶん離れていますが、学校の規模・設備ともすばらしく、優秀な生徒を輩出している学校だそうです。
PCラボの設備も立派でした。
 
 
 
 
 
BigBend U-TECH のWorkshop
参加者は20名余。 ICT担当教員の他にも校長先生とかHeadTeacher(学年主任?)とかも参加しておられて、私の発表はすこし専門的すぎたのか、あまり理解してもらえなかったみたいです。 IPアドレスのセッティングやらルータのDHCP機能やら、専門用語がどうも伝わりにくかったようです。 あとから訊いたら「数学の授業を受けてる気分でしたよ」とのことでした。 
 
BigBend U-TECH のWorkshop
ターゲットが「ICT担当教員」と聞いていたのですが、実際には管理職教員や校長先生・副校長先生もかなり参加しておられて、まだ私には参加者の顔ぶれを見て即座に話の内容を組み替える余裕はありませんでした。
 
 
 
 
 
Lubombo Central High この日は文化祭2日目のWorkshop
二日目(3/26)は東部の中心都市・Sitekiです。 Sitekiはスワジランド中央部の平野を横断して、モザンビークとの国境沿いに南北に走るLubombo山脈の高地へ一気に駆け上がったところにあります。

BigBendのように産業の中心地というような都市ではないように見受けます。 とりたてて特色のない街のようですが、おそらくスワジランドの東部地区に散らばるいくつかの都市のハブ的な都市なのかもしれません。 教育省のLubombo地区地方事務所(REO:Regional Education Office)もこのSitekiにあります。

この日、訪ねたLubombo Central High Schoolはちょうど文化祭のような日で、民族衣装を着た生徒たちがたくさんいました。 からだに巻いている赤い布は、さまざまな模様のある長方形の布で、男性は右肩、女性は左肩で結ぶのがルールだとか。
Workshopの合間にも、ローカルフードのもてなしで、たいていのものは美味しくいただいたのですが、なにかの果物を発酵させた飲み物(名前も忘れました)だけ、ちょっと???でした。 見た目と食感は日本の甘酒、しかし「腐臭」としか表現できない匂いで、ひとくちノドを通すのが精一杯でした。

Sitekiへの途中、インパラの群れに遭遇
Sitekiへ向かう途中、ちょっと寄り道して地道の続くところがあって、車に乗っていたひとりの先生が「インパラがいるよ」と教えてくれました。(右写真、クリックして拡大可) 10頭ほどのインパラが道をのんびり移動していたのですが、私たちの車に気づくといっせいに脇の草むらに逃げ始めます。 道から草むらへ、ジャンプ! ジャンプの高さに目を奪われます。 背丈の2~3倍は高く飛んでいるんではなかろうか、と思えるほどです。 さらに進むと、今度はサル。尻尾が長く、灰色っぽいサルでした。 私には何も見えないのですが、スワジランド人にはちゃんと遠方のサルの姿が目に入っているようで、「アフリカ人の視力は5.0」なんていうウワサもひょっとするとおおげさでなく事実なのかもしれません。
Mhlume High 広大な敷地3日目のWorkshop
三日目(3/27)は北東部の国境に近い街・Mhlume(ムルメ)です。Mhlumeはさほど大きな町ではないようでしたが、広々としていて、Workshop会場のMhlumeHighSchoolも広大な敷地でした。この日はあいにく激しい雨で、参加者は7~8名でした。ただ先生たちはたいへん熱心で、質問もたくさんでましたし、やはり僻地なせいか、こうした機会はめったにないのでしょう、きっと先生たちも雨の中を遠くから参加してくれたんだろうと思います。 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
2013.04 Shiselweni地区 学校巡回
4月にはいって、今度は南部Shiselweni地区の学校巡回訪問です。
 
 
 
Nhlangano近辺の計画的植林
Nhlangano近辺の計画的植林
南部Shiselweni(シセルウェニ)の中心都市Nhlangano(ランガノ)は私が住むMbabane(ムババネ)から南へ120kmほどのところにあります。
 
 
 
 
 
 
 
そこへの移動の途中、中央の平原地帯を越えてNhlanganoがある高原までの山道は奇岩・巨岩の景観がすばらしく、また計画的な植林が見事に広がっていて、「スワジランドもなかなかやるじゃない」と感心させられ、見た目にもすばらしい光景が続きます。
 
 
 
 
天井がなく、波板屋根むき出しのPCラボ
ほこり貯め放題のカーペットを敷いたPCラボ
学校を数校巡回訪問してみましたが、PC室の整備状況はいまひとつでした。 右下図では、天井がなく、屋根の波板がむき出しで、さらにところどころ小さな穴もあって、雨漏りが心配なケースです。 即刻改善するようお願いはしましたが、やはり予算がないことが障害になっています。 下の図ではカーペットが敷いてあるPCラボで、これもホコリを溜め込んでPCに悪影響がありますから、外すように勧告。 学校によって整備状況にたいへんな格差があります。 スワジランドでは、生徒からPC学習費を徴収する、とか、地域(Community)が補助するとか、ミッション系の学校では信者の寄付など、いろんな方法で資金集めをしています。 もちろん国の教育予算もありますが、それだけで整備できるような状況ではないようで、各学校とも苦労しているようです。 この学校巡回を計画してくれた、Shiselweni地区のInspector(ICT)のMr.Simelaneは「各学校でICTポリシーを確立することがまず第一」と強調していましたが、最終的にはどのケースも予算措置に行き着いてしまうので、「PCラボ改善プロジェクト」のような形で、全国の学校が歩調を合わせて予算獲得をめざすような動きが必要ではなかろうか、と思いました。 経済的にきびしいスワジランドでは難しい課題ですが・・・
 
 
 
 
 
 
 
スワジランドの昔ながらの家スワジランドの昔ながらの家
南部・Shiselweniや東部・Lubomboに行くと、伝統様式の家がまだまだたくさん見られます。 Mbabaneなどではほとんど見ることができませんが、地方はやはり貧しいということもあって、昔ながらの「泥レンガでかためた直径4-5mの円筒形で、アシの茎で『ワラ葺き』屋根をふいた家」です。真ん中に煮炊き用の炉があって、屋根の真ん中にも煙突代わりの煙抜きがあり、家族が一室で生活する貧しい家です。

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