【新聞記事から】VISION2022 : First World Status by 2022

Vision2022 :

2014年4月にスワジランドでの2度目のJICAボランティア暮らしを始めてまもなく、新聞に大きな見出しと一緒に掲げられた「Vision2022」という文字。
これは、「2022年までにわが国は世界の一流国の仲間入りをする」という、スワジランド国王が掲げるスローガンです。

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このような比較が妥当であるか否か、議論の余地があろうかと思いますが、このスローガンを眼にしたとき、ふと別の国、わたしたち日本の近くのあの閉ざされた国で数年前でしたか、よく似たスローガンを目にしたことを思い出しました。 曰く「20xx年にわが国を強盛大国に!」というスローガンです。

詳細な内容の分析は情報不足でできませんが、内容に立ち入らずともこういった類のスローガンがどのような状況で産みだされるか、という背景にはおそらく共通点があるように思います。 すなわち、国内政治・経済の不振、あるいは矛盾がコントロール不可なレベルに達しそうになった、あるいは達してしまったと支配層が感じたとき、国民の眼を不振・矛盾からそらすための典型的なアジテーション手法、です。 元気のいいスローガンやアジテーション、プロパガンダであるほどに、その裏側に潜む厳しい現実が透けて見える、というのは私たち世代には身にしみた処世訓です。

今、新しい国際空港の建設が進んでいるのですが、場所は首都ムババネから見ると現在の国際空港(マツァパ国際空港 ムババネから約30km)よりはるか遠方(ムババネから約80km)にあり、そこへのアクセス道路も別途建設中、という状況です。 現空港では発着不可能な大型ジェット機を発着可能にして、現在は南ア・ヨハネスブルグとの間しかない飛行便をケープタウン・ダーバンや他の国々へも拡げよう、という目的のようです。 見渡す限りなにもない平原に空港と関連道路の建設工事が続いています。 どのような収支予測がたてられているのでしょう? 現行のヨハネスブルグ-マツァパを結ぶ、35~6人乗りの小さなジェット機でさえ空席が目立ったりするのに、どのようなニーズを見込んでいるのでしょう? 魅力ある投資環境を整備するとか、観光立国をせめて周辺国に認識してもらえるよう努力するとか、・・・どこか違うような気がしてなりませんが・・・ この計画がVision2022の目玉商品であるようです。

もっともっと身近な問題からなぜ片付けようとしないのだろう、と正直なところ疑問です。
先日記事を掲載したAGOAの問題もそうですし、HIV・AIDSの(世界一と言われる)感染・発病率や(世界一短いといわれる)平均余命も喫緊の問題です。
私が関与しているICT教育の分野では、昨年のIGCSE(Cambridge大学の国際共通テスト)のICT科目でスワジランドは、またも近隣諸国中最下位という不名誉な結果を続けています。これもほんとは大問題のはずです。

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なにをもって「一流国」というのか、という定義づけもなく、ただ声を大にしてアジテートするだけのVision2022というスローガンを今スワジランドの政界もメディアも声を揃えて大々的に宣伝しています。多くの場合それらの記事や主張は建前論であったり精神論であったり、あまり具体的な提案や指示はみあたらなくて、私の耳にはとても虚しい響きでしか聴こえないのですが・・・

もっともっと身の丈に合った目標を掲げて、地道な国家運営というものを考えていかないと、あとでしっぺ返しを食らうんじゃないかな、と他人事ながら心配になる昨今です。穏やかで真面目な青年教師や高い意欲を示す学生たちと接する機会が多いのでなお一層そう感じます。 極小途上国には極小途上国なりのRaison d’etreがあるはずで、それを見つけてそこから世界に発信していってほしいな、と望んでいるのですが・・・

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