2014年8月14日の新聞に公務員給与引き上げの記事が載っていました。
この記事で私に興味深かったのは、給与引き上げの事実や引き上げ幅よりも記事の説明に使われていた表中の数値でした。(下図 クリックして拡大可)
記事の概略を説明すると;
「政府は公務員給与の6.5%引き上げを発表した。
それによると、各Gradeについて
A1 (掃除人など) E1778 –> E1893.57(約19,000円)
C5 (教員・看護師など) E10,014.25 –> E10,665.18(約100,700円)
F3 (各省の次官級) E35,294.25 –> E37,588.38(約376,000円)
となる」というような説明があります。
日本で、現業職と省庁の次官級との給与格差はどれほどなんでしょうか?
(日本の場合は現業部門がほとんど外注化されていて、同一事業体内での給与格差としては見えづらくなってるかもしれません)
ここスワジランドの「掃除のおばさんと次官との約20倍の給与差」というのは妥当な差と納得できるものなのでしょうか?
また「6.5%の引き上げ」は各給与表に均等に割り当てられるため、「給与の低いGradeと高いGradeの給与差」はどんどん大きくなっていくばかりです。
次官のF3級の引き上げ額(月額)は約E2,300(約23,000円)ですが、この額は掃除のおばさんたちのA1級の6.5%アップ後の月額給与E1,893を上回っています。
南部アフリカの国々(南ア・レソト・スワジランド・ジンバブエなど)はジニ係数の高さでも世界トップクラスの常連国で、こうした貧富格差が是正の方向ではなく、いよいよ拡大するばかりのこうした実情を見ると、いつそれらが社会不安となって爆発するか、心配になってしまいます。
付記:2014.8月末、新聞に「レソトでクーデター発生」という衝撃的な記事が載っていました。 記事を読むと、どうやら政体を覆すクーデターというよりは権力内部の抗争であるような印象を受けました。 レソトの首相は南アに脱出し、後日国内情勢をみてまた帰国したようです。 レソト以上に深刻な国内問題を多く抱えるスワジランドですが、今のところ相当な強権的支配の下で、高等裁判所の判決を批判した人権派弁護士や雑誌編集者、あるいはメーデーのデモを指揮した組合活動家らが捕らえられ、政体を変えるような動きはみられませんが、メディアや言論界には重苦しい閉塞感が漂っているように感じられます。